2016/03/21

「神様が殺してくれる」

神様が殺してくれる (幻冬舎文庫)
森 博嗣
幻冬舎 (2016-04-12)
売り上げランキング: 5,702
ミステリーは苦手。だけど読んだあととても清々しい気持ちになれたので嫌いじゃなかったんだなあと思えるお話。

 リオンという絶世の美人はジェンダーの垣根を越えた美の象徴であるのだなあと。
主人公が、相手を男か女かという観点を度外視して「愛しているのか?」「惹かれているのか?」ということのみを自問するのがよかったです。

心地よいと感じた理由は、トリックというか物語の進み方が読み手の思い込みをうまく利用していて そのことが、私が普段とらわれている枠の存在を教えてくれているような気がしたからかな。 

主人公レナルドとミシェルのカップルを想像するだけでどきどきします。
切なさをたくさん抱えているのに、それを嘆くわけでもなく自然と寄り添って
でも言わないだけで抱えているものの重さはすごいんだろうなあ

最後まで読み終えてはじめて、「おお、この2人のシーンが一番ドラマティックでは…」と気づくの、楽しかった!
リオン自体は象徴だからか、「美」以外に目立ってこないのもおもしろいですね
小説の中の美人ってだいたい魔法とか使える無敵キャラじゃないですか……(笑)

というかリオンの存在のなかに萩尾望都的な美の追究が見られてとてもほくほくしています。
真の美しさの前では性差なんて飾りなのです、ということか。
ああ、とっても自由だなあ。

でもミステリの殺人がないと始まらない感じがやはり苦手です。
殺したいポイントが今回もよくわからなかったし
でも森さんが他の本でいっていたけど、なぜ殺したか…!ではなくて
犯人を突き止めるまでの論理的なプロセスに楽しみを見いだすのもミステリーの読み方のひとつなんでしょうね

 久々に本を一気読みしてしまった!

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